鍵盤上のU.S.A.

ジャズピアニスト南博さんの著書、「鍵盤上のU.S.A.」を読んだ。面白くて一気に読んでしまった。南さんが銀座でお金を貯めてバークリー音楽大学へ留学したときのことが記されている。実は私も、バークリーへ留学しようと試みたことがあるのだ。90年代後半のことだったかなぁ。大西順子さんに憧れ、ジャズピアノ科へ行きたかったのだが、そのときの私の貯金は、学費を出せば、滞在費が出ず、滞在費を出せば、学費分が足りないってことで、スカラーシップ(奨学金制度)を日本で受験したのを覚えている。結果は不合格。入学願書の経歴のところに、音楽歴を書くところがあって、そのせいか、MIDIの打ち込み学科のようなところなら入学できます。というようなことが書いてある手紙をもらったのだが、、、、。私が勉強したかったのは、打ち込みではなく、ジャズピアノだったので、ひとまず留学は断念。がぼさんに付き合ってもらい、極寒のニューヨーク経由で、ボストンまで学校の下見にいったこともあったなぁ。学校見学の予約をしなければいけないので、夜中に、日本から国際電話をかけたっけ。、、、、で傑作だったのは、見学に行った先で、がぼさんが入学したい本人で、私がその母親に間違われたこと。まぁ、そんな珍道中ながら、実際にボストンまで出かけたことは、幾多の有名音楽家を生み出した名門学校の雰囲気を肌で感じ、もうそれで充分に圧倒され、私のバークリー音大へ留学したい病は満たされ終息してしまったのだ。

というわけで、実際に学校を訪ねたこともあるので南さんの著書を読むと、通りやら学内の雰囲気やら、映像とともに甦ってきたわけだ。南さんは師匠であるスティーヴ・キューン氏についてのレッスンの様子も記している。偶然にも、私もスティーヴ・キューンの音楽にハマったことがあって一時期よく聴いていた。特に好きな曲は、「Remembering Tomorrow」に収録されている「オーシャンズ・イン・ザ・スカイ」という曲。メジャースケールとマイナースケールが交互に出てきて、何やら不思議な浮遊感に包まれている彼の音楽は、ジャズというジャンルをも超えている気がする。全くの無調ではなく、かといってドミナント→トニックの解決にいくかと思えば、ぎりぎりの所でいきそうでいかない感じが、真綿に包まれたような女性特有のエクスタシーを感じる音楽だと思う。

それでは今日はこの辺で。

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