ラヴェルのピアノ曲「水の戯れ」の魅力について
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「水の戯れ」楽譜
先日、モーリス・ラヴェルのピアノ曲
「水の戯れ」について書きました。
ブログを書くにあたり、
改めて曲を聴いてみました。
いつ聴いても素敵な響きなので、
最初の3小節だけ、
音の構造を分析してみました。
そうすると、メジャーセブンの和音で
できていることがわかりました。
1小節めは、
「Emaj7」→「Amaj7」→「Emaj7」→「Amaj7」
の繰り返しです。
CメジャーKey(ハ長調)になおすと、
(C maj7)→(Fmaj7)→(C maj7)→(Fmaj7)
となります。
ふあっとしてキラキラした響きです。
2小節目は、
「Emaj7」(Cmaj7)のみ
そして3小節め。
この3小節目が さらに魅力がある響き
なのです。
「Amaj7」→「D7」
「D7」の和音の響きが、湖の底に潜るような
神秘的な感じがします。
この小節は、EメジャーKeyから
AメジャーKeyへ転調しています。
CメジャーKeyになおすと、
(Fmaj7) →(Bb 7)
FメジャーKeyに転調しているという解釈
ができます。
この(Bb 7)は、
教会旋法(モード)のミクソリディアンの
響きです。
CメジャーKey(ハ長調)で考えると、
7番目の音「B」(ラ)の音、
これが半音下がってBbとなっています。
今までメジャーセブン同士の和音の連結
だったのに、ここだけ
メジャーセブンから、セブンスの
和音になっている。
このことが、不思議な雰囲気を
醸し出しているのです。
「C」→「F」→「C」や
「C」→「G」→「C」の
くっきりとしたドミナント→トニックの
響きに慣れている人が聴いたら、
斬新な、不協和音に聴こえるかも
しれません。
なぜなら、ミクソリディアンの響きは、
CメジャーKey(ハ長調)の7番目の音が
「Bb」(シb)となるので
「C」→「Gm」→「C」の響きになるのです。
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なんか変な感じがしませんか?
そうです!
「C」メジャーKeyなのに、「Gm」が
挟まっている。
これは、
メジャーKey(長調)とマイナーKey(短調)が
混ざっているのです。
この、
メジャーKey(長調)とマイナーKey(短調)の
同居、これが、ラヴェルやドビュッシー
などの、印象派の音楽、
ボサノヴァや、モードジャズ音楽の
特徴であり魅力の一つなのです。
それでは今日は、この辺で。
いつもお読みいただきまして、
どうもありがとうございます。