村上春樹原作の映画-ドライブマイカーを観ました
きのうは、カホ姉さんに誘われて映画を観てきました。
「ドライブ・マイ・カー」
上映時間が3時間近い長編映画で、2022年のアカデミー
国際長編映画賞を受賞しています。
「ドライブ・マイ・カー」予告編
↓
春樹さんの世界観である「死」というテーマが通奏低音
のように、ひしひしと画面から伝わってくる、
そんな映像作品でした。
演出家で舞台俳優の家福(かふく)が最愛の妻を
くも膜下出血で亡くすところまでが、物語の序章のように
語られて、そこで出演者、キャストの字幕が流れたので、
随分短い映画だなぁ、でもそんなわけないか、
と思っていたら、舞台は広島へ移ります。
そして劇中劇「ワーニャ伯父さん」
(ロシアの作家チェーホフの戯曲)
が演劇祭で上映されるという設定で物語は進みます。
劇中のBGMは少なく、また演劇祭の練習風景や
登場人物の台詞はトーンが抑えめで「棒読み」に近い
台本の本読みの風景が続きます。
カホさん曰く、
「ミーさん、途中で絶対寝ると思っていたよ。」
確かに、寝てしまってもおかしくない感じの映画の作りです。
けれどなぜか、ぐいぐいと画面に引き込まれてゆくのです。
監督の濱口竜介マジックでしょうか。
3時間近くもあったとは嘘のように、物語は終わりました。
後半、舞台は北海道へ移ります。
広島から北海道まで「ドライブ・マイ・カー」しながら、
家福はこれまで向き合ってこなかった様々な事柄に、
向き合わされることとなります。
併せてロードムービーの要素が、
見る者を飽きさせない設定になっていました。
劇中劇のワーニャの姪っ子ソーニャが語る言葉が、
胸に響きます。
言葉はここには書きませんが、
今の流行病の状況下で聞くと
なんとも身につまされるものがあります。
1880年代に書かれたチェーホフ戯曲を通して、
村上春樹さんが、問いかけているようにも感じます。
「本当にそんな生き方で良いのですか?」
と。
一方で、人生は辛くて厳しいもの、我慢して我慢して
生きてゆかなくちゃならないんだ。
それで全うしたら良いのだ。
と念を押されているようにも感じます。
ラストシーン、海を渡った運転手ミサキがマスクを外す
シーンがありました。
このシーンが、もうすぐコロナが終わることのサインに
思えて仕方がありませんでした。
それでは今日は、この辺で。
いつもお読み頂きまして、
どうもありがとうございます。