菊地先生のこと
久しぶりに六本木ミッドタウンに行ってきた。かつての私の職場、今では裏の公園がすっかり名所になったばかりである。ビルボード東京で、私の師匠、菊地成孔氏出演のライブがあったのだ。「花と水」発売記念ツアーの最終日である。ジャズピアニスト南博氏とのデュオ。何とも形容し難いが、格調高い現代音楽の作品のようであり、とても即興演奏とは思えなかった。熟練した作曲家によって推敲されて書かれたかのようなソプラノサックスとピアノのための花と水。
菊地先生との出会いは2005年秋のこと。がぼさんから菊地成孔という音楽家について熱心に説明を受けたのがきっかけである。そのころ熱狂する対象を持っていなかった私はコンサートに行き、レコードを聴き、がぼさんの熱狂に付き合った。それから著書「官能と憂鬱を教える学校」を読み、菊地先生が教えているアテネフランセの音楽美学講座に通うことにしたのだ。メソッドコース高等科というところに1年間通い、モードやポリリズムについて勉強した。ラベルやストラヴィンスキーのように、現在生きていない作曲家の作品は、音源とスコアで勉強するしかない。またそれでも充分多くのことを学べる。だけれども、第一線で活躍している現役の音楽家から直接教えを受けられる、ということは、生の演奏に触れられることも含めて、ほんとに学ぶことが多いのだ。なんと言ったらよいのか、襟を正さなければならない感じ、とでもいっておこうか。
久しぶりにがぼさんと出かけたコンサート、贅沢なひとときだったね、アンコールは舞台背面のカーテンが空いて、近未来の空間にいるようだったね。ブレードランナーの世界。思えばあの頃、がぼちゃんは薬のように先生の音楽を必要としていたね。最近ではすっかり普通のリスナーになったね。元気になってほんとによかった。菊地成孔さんのことを教えてくれたがぼさんに感謝しています。がぼさん、ありがとう。
それでは今日はこの辺で。