秋晴れ!VGLコンサート!猫!

すっかり秋。空は青く、私はまたひとつ歳をとった。といっても、もう3週間も前のことになるが。9月は、祖父と祖母の法事で香川に帰省したり、VGL(ビデオゲームズライブ)日本初公演で、舞台挨拶をしたり。東京国際フォーラムAの舞台から観た客席は、とてつもなく大きかった。去年の夏は、ここに上原ひろみさんの公演を観に来たっけ。。。

VGLコンサートは、アメリカ仕込みのゲーム音楽コンサートで、照明、音響、ビデオ、どれもショーアップされていて、ゲーム音楽を知らない人も充分楽しめるショウであった。さすがエンターテインメントの国、アメリカ。一緒に挨拶をした山下さんは、ゲーム業界黎明期、私が入社したときの先輩で、朝早くから夜中まで、なんでこんな綺麗な人が、こんなに長時間働くんだろう、というくらい働いていた。当時、私はファミコンの音楽をつくる部隊に配属され、ゴエモン2などの音楽を16進数のデータで打っていて、山下先輩は、MSXの音楽をつくる部隊に属し、他に、アーケードゲームの音楽をつくる部隊には、古川もとあき氏が稼ぎ頭として活躍されていた。山下さんの部隊は、夜中の1時からミーティング、なんて言いながら、宿泊&徹夜はあたりまえ、私は内心、なんという職場に就職してしまったのだろう!!!と思いながらも、目の前の仕事をこなすのに、精一杯の日々だった。

よく友人に言われたものだ。「なんで音大出たのに、ゲーム音楽つくっているの?」「他に音楽をつくって、お金をもらえる就職先がなかったから。」今でもまだまだ、映画音楽に比べて芸術的価値の位置付けが低いゲーム音楽ではあったが、当時は、その落差はもっと顕著で、周りの人に胸をはって言えない自分がいたのも確かである。とはいえ、音楽をつくってお金がもらえる。それだけで私は充分だったし、人口は少なくてもゲームを楽しんでくれている人がいて、面白い作品と一緒に、パッケージされて作品として残る。きっと、そのことが私を長く引きつけたのだ。

さて、ここ一週間くらい缶詰めになっていた。よく売れっ子作家さんが、箱根の旅館などに詰めて原稿を書いたりしているが、私の場合は自宅に。要するに家で缶詰めになって、ひたすら曲をつくっていたということである。なんと孤独な作業であったことか、、、、。家なので、誰ともしゃべらず、外出もせず。食事は自分でつくるパスタや冷やし中華、ほかに、ラタトゥイユと肉じゃがを多めにつくって代わりばんこに食べたっけ。ときどき、仕事場の椅子にやってくる猫のちーの頭をなでながら、一方的に話しかけ、だっこしたり、散歩したり、、、、。料理と猫と過ごす時間が丁度良い気分転換の時間だった。

この猫のちーは本名、山根チルル、ひょんなことから家にきた、しっぽの短いアメリカンショートヘアー♂、である。コナミを退社した理由のひとつに、猫のそばで仕事をしたいから、というのがあったが、希望は充分叶えられたわけだ。このチーとの運命の出会いは、またの機会に書くことにして、今日は、チーの好きな音楽を紹介して、終わります。

チーの聴く音楽は何気にハイアート。バッハの平均率は何度聴いても飽きないし、マイルス・デイビスの「カインド・オブ・ブルー」や、ビル・エヴァンス「ワルツ・フォー・デビー」は大のお気に入り。プーランク全集は、冬の午前中に聴くといい。大好きなかつお御殿を食べた後、ホットカーペットの上で、できるだけ体をのばしきって聴くのが好き。至福のときだ。

もしチーが読書好きなら、この本を読むだろう。次のノーベル文学賞受賞の本命、といわれている村上春樹氏の音楽エッセイ「意味がなければスィングはない」。この本をよんで、ますます音楽が好きな猫になって行くだろう。

それでは今日は、この辺で。

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