人形浄瑠璃

文楽というものを生まれて初めて劇場で観た。歌舞伎などの題材になっている演目で、人形使いが人形をあやつり、語り部の人が、実況で物語の進行を語りながら台詞を言い、三味線の人が同時に音楽、効果音を声も使って演奏するというもの。

映画もテレビもラジオもない江戸時代、歌舞伎が当時の映画や芝居なら、人形浄瑠璃は江戸時代のアニメーションといったところか。人形なので、表現はある意味自由、首がちょん切れたりするところも切り口のまっかな人形の生首を使って実写ではできない演出をしている。

何よりの楽しみは、三味線と語り部の人の、伝統につちかわれた芸の凄さである。義経千本桜の見せ場のパート(すしやの段)では、何かが降りて来たような熱演で、圧倒されてしまった。

フラメンコを見た時、ダンサーは主役でもちろん素晴らしいが、後ろで演奏する歌とギタリストが凄いというのと似ている。

とにかくこれ以上の熱演はないというほどのものだった。江戸時代の娯楽って、こうしてみると、音と動きがぴったりで、それをコンピューターを使わずに操り人形師さんが動きに命を吹き込み、その動きに、語り部と三味線が後から編集したようにぴったりあわせているのだから神業を見ているようだった。

江戸時代の人形のミュージカルとも言える。

主役級の人形には3人の操り人形師さんが付く。町人やらその他の人物にはひとりで一体の人形を操る。なので、物語のクライマックスで主役級が3人並び、他の出演者も出てくると、凄く大人数で派手な舞台になる。地味な印象があったがとんでもない、大変賑やかなのだ、文楽って。

操り人形といえば「ピノキオ」、それから私たちの年代ではNHKの「ひょっこりひょうたん島」「里見八犬伝」「プリンプリン物語」など、懐かしく思いだした。

それでは今日はこの辺で。

国立劇場小ホール

国立劇場小ホール

大蛇退治の段

大蛇退治の段

この人形の動きがリアルで凄いのです。

この人形の動きがリアルで凄いのです。

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